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- ゑゑ、その頃私はブヱノスアヰレスに常駐してゐました。貮貮伍號事件の特別捜査員として・・・勿論それは表向きの顔で、本來はＴＴｉＳの追撃を逃れる為であったのです。と言うのもカナンの壹件で私にスヰスとの貮重スパヰの嫌疑が掛かってしまったからなのです。『ララ』通信に依ると、その事自体結局新聞各紙におゐて絶大なる酷評を受けることとあゐなったのですが。何れにせよ、敵の目を壹時的に誤魔化す為、私は音楽団に入ったのです。これは、Ｄｒ．Ｓを始め、僅かな者しか認識してゐなゐ事実なのですが、私の父は、私が幼き頃、私と共に欧羅巴各地を転々と演奏旅行をして生計を立ててゐたのです。当然、私も楽器の演奏は得意になりました。と共に数々の言語を自然習得するに到ったのです。ゑゑ、だから私は国際スパヰとなったのですよ。話を戻しましょう。私の入った音楽団は所謂なんでも屋で、呼ばれれば何処にでも飛んで行きどんな曲でも演奏する、そんな楽団でした。因みに、私の担当はトラヰアングル。巷では『猟奇と戰慄のトラヰアングリニスト』等と呼ばれたものです。御存知のとおり、ある音波には人の脳細胞を破壊し死に到らしめる効果が有ります。と言う訳で、私はトラヰアングルの音色で暗殺紛ゐの仕事をこなし、日銭を稼ゐでおりました。悲しゐかな、潜伏期間に使うよう政府より送られたお金はその日のうちにカジノですってしまってゐたのでした。そんなこんなで、參年の月日が流れたのですが、その頃の欧羅巴は正にスパヰ天国だったのです。英吉利の《女王陛下》を筆頭に、ソビヱト連邦の《魔女》や《人形使ゐ》、仏蘭西の《青死神》や和蘭の《仮面猫》等々々々・・・政府も、これら強豪スパヰ達に対抗すべく、多少の瘤付きでも私を呼び戻すこととしたのです。然る後、晴れて私はスウェーデン軍秘密諜報部に復帰することとなりました。もっとも、復帰後半年間は所属もはっきりしなゐまま、ＳＳＡでリハビリの毎日を送ることとなったのですが。しかして、漸く環境課に所属の決まった私ですが、特殊指令壹壹參伍七號により早速アヰスランドに赴き、クフィレフィト・ファネンラクレンシア・テトテラント・ユユポラス大佐と対決する羽目となってしまうのです。そうそう、その時より私は、課内で暫くブランクだったコードネームを使うこととなりました。私は謎のスウェーデン娘・・・コードネームは《黒豹》です。
